EDITORIAL
化学療法は適正に
小酒井 望
1
1順天堂大臨床病理学
pp.1667
発行日 1970年11月10日
Published Date 1970/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203397
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このところ日本化学療法学会では,毎年総会や支部会で幾種類かの新しい抗生物質の基礎および臨床実験のシンポジウムが行なわれ,それら新抗生物質のほとんどが1,2年の間に市販されるようになっている.従来と化学構造も抗菌スペクトルも全く異なったものもあれば,化学構造は類似しているが抗菌スペクトルの相違するもの,化学構造も抗菌スペクトルも似ているが抗菌力がより強いとか,血中濃度がより高くなるといった特徴をもつものなど種々様々である.
ともかく私どもは,多数の化学療法剤を武器として細菌感染症に立ち向かうことができるわけである.たしかに耐性菌もふえつつある.しかしすべての化学療法剤に耐性という菌はまずない.さがせばどれかの薬剤が有効である.一つの武器ですべての細菌感染症に立ち向かえるのならば簡単であるが,細菌感染症の種類によって武器を変えなければならないのであるからめんどうである.
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