Current Abstract
肝炎の抗原—Lancet, May 31, 1969
pp.678
発行日 1970年5月20日
Published Date 1970/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203111
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GockeとKaveyは,血清肝炎の患者と伝染性肝炎の患者の80%に,特異な抗原を発見した.免疫拡散法をもちいて肝炎の抗原を発見したのであるが,そのさい彼らは,頻回の輸血を必要とした患者の血清を使用したのである.患者が肝炎にくりかえしバクロされていたとすると,患者の血清には,肝炎ビールスまたはその産物に対する抗体が存在していると考えてよかろう.
血清肝炎も伝染性肝炎もビールス肝炎であるが,この両型に対する抗原が発見されたのである.しかも,この抗原の存在は,病気の経過と密接に関連していた.肝障害の臨床的証拠が最大限に到達するまえに,すでに抗原の力価はピークに達し,病気が消退する以前に抗原は姿を消していたのである.またこの抗原は,ある血液供給者の血清に発見された.そしてこれらの供給者から血液をもらった人びとに典型的なビールス肝炎が発展してゆくさまが,記録されたのであった.この観察は,輸血肝炎を予防するうえに相当重要性をもっているといえよう.
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