診断のポイント
回盲部腫瘤
長洲 光太郎
1
1関東逓信病院外科
pp.301-303
発行日 1970年3月10日
Published Date 1970/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203008
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まず注意すべきこと
右下腹部腫瘤と回盲部腫瘤とは全く同じものをいうのではない.厳重な意味で用いれば回盲部腫瘤のほとんどすべては回腸終末部から盲腸・上行結腸に関係したものだけになり,右下腹部腫瘤のようにヘルニアや遊走腎あるいは腹壁の病変,子宮付属器などは除外される.しかし腫瘤が腹腔内で,回盲部のものであるかどうか,また腹壁の腫瘤が結局は内部から由来しているものにほかならないのか,純粋に腹膜外のものだけであるのかなどということを診断しなければ,正しい回盲部腫瘤の診断を下すことはできない.たとえ腹壁に腫瘤があっても,これが内部からきている続発的なものであるかもしれない.流注膿瘍などは今日あまり見ることがないし,その診断は容易であるから,くわしく述べる必要はないであろう.
腹壁皮膚・皮下の限局した腫瘤ならばこれも発見はたやすい.ただしその腫瘤の性質本態を—ということになれば一見して診断可能というほどたやすくはない.リンパ節腫張ことに悪性リンパ腫のごときものは試験的に1個の動きやすいリンパ節を取って組織学的に検索するまでは,系統疾患らしいという判断以上に出ることはむずかしい.
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