カラーグラフ
Letterer-Siwe病の皮膚症状
西村 昂三
1
1聖路加国際病院小児科
pp.152-153
発行日 1970年2月10日
Published Date 1970/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202966
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Letterer-Siwe病はReticuloendotheliosisあるいはHistyocytosis syndromesといわれる疾患群(Eosinophilic granuloma,Hand-Schüller-Christian病,Letterer-Siwe病)の中でもっとも激症型として知られている.
本症の主要症状は,異常に増殖したHistiocyteの各種臓器への浸潤の結果惹起されるもので,皮膚症状ももちろん例外ではない.本症の皮疹は湿疹や乾癬などとまちがえられることがあるが,本症を何例か経験しておれば鑑別はそう困難ではなく,しばしば診断の有力な手がかりとなる.この皮疹としては通常,痂皮・落屑・水疱・出血などを伴った直径1-3mmくらいの茶褐色の小丘疹が躯幹・前頭・顔面などに散在することが多いが,前頭・前額部に脂漏性湿疹様の皮疹をみたり,またそけい部や腋下などの皮膚の接触部ではしばしば間擦疹ができ湿潤びらん面がみられたり,肛門周囲や女児の外陰部がただれたりする.なお粘膜症状としては歯の肥大,腫脹,壊死,潰瘍形成などがしばしばみられ,ときには歯が脱落することがある.これらの皮疹の生検やタッチ標本あるいは歯齦浸潤部の擦過標本をつくると,Histiocyteの集落が容易に証明される.
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