シンチグラムのよみ方・最終回
膵臓,その他の臓器
鳥塚 莞爾
1
,
藤井 正博
1
1京大中央放射線部
pp.1393-1397
発行日 1969年12月10日
Published Date 1969/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202909
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膵臓
膵臓は,その解剖学的位置の関係で同じ濃度の組織を有する臓器によりその周囲が囲まれているために,X線写真では描写不能であり,膵疾患は現在なお診断の困難な疾患である.膵炎はしばしば他の腹部の疾患と間違われ,膵癌も比較的進行し黄疸が発生してはじめて診断されることなどはわれわれのしばしば経験するところである.したがって膵scan可能の薬剤の出現は核医学研究の主要な課題の1つであった.
膵臓は生体の中で蛋白合成の最もさかんな臓器の1つである.そこで1961年Blauらは適当なγ線で標識されたアミノ酸について検討し,methionineのSを75Seで置換した75Se-selenomethionineの生合成に成功した.そして本薬剤は動物実験において投与量の6%は膵臓に集まり,また膵臓と肝臓の1gあたりの摂取率の比は8-9倍というところから膵臓のscanning薬剤として用いられるに至った.75Seは半減期は128日,主なるγ線のenergyは270 keVである.
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