話題
—腫瘍髄伴症候の臨床—第7回癌治療学会総会(9月4-6日:新潟市)シンポジウムから
里吉 營二郎
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1東邦大大橋病院第2内科
pp.1273
発行日 1969年11月10日
Published Date 1969/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202874
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腫瘍の患者を観察していると,時折,腫瘍そのものや転移などによって起こってくる症状以外に内分泌異常を思わせる症状,たとえばCushing症候群,Addison様症状,女性乳房などを見いだすことがある.また種々の電解質の異常,血液成分の異常,神経系では小脳の変性,"多発性神経炎,筋炎など,腫瘍に伴って現われてきたと思われる種々の疾患のあることが以前から報告されてきている.これらのうちには腫瘍と直接な関係があるか否か不明のものもあり,因果関係がまだ十分明らかにされていないものもあるので,現在ではこれらのものを"腫瘍の随伴症候"とよんでいる.この問題の研究は近年一部の人々からたいへん注目をあびているが,これは随伴症候のあるものは腫瘍の産生する物質によって起こることが明らかにされ,腫瘍細胞そのものの研究の手がかりになると思われる一方,従来原因不明であった種々の神経疾患を解明する糸口になると考えられるからであろう.
今年の癌治療学会では新大・椿教授,がんセンター・熊岡博士の司会によってこの問題が取り上げられた.もちろん現在やや解明の進んだものを中心に7人の演者によってそれぞれの問題が討議されたものであるが,広い範囲に及んでいるので,興味ある点を中心に簡単に触れてみたい.
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