メディチーナ・ジャーナル=日医
検査高度化と精度管理のひきしめ—第18回日本衛生検査学会のめざす方向
木島 昂
1
1日医広報
pp.670
発行日 1969年6月10日
Published Date 1969/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202695
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検査高度化・細分化の問題点
5年ごとに倍増するといわれる検査種目、被検物のウルトラ・ミクロ化,検査器機のME化,器機分析や生理機能検査など,臨床検査の高度の発達はだいたい戦後型とみていい.かつて,といっても戦後間もなくのころ,大病院の臨床検査室はうす暗い地下の一隅にママ子扱いにされていたものが,今日では診断の中枢部"中検"として脚光をあびていることをみても,その間の事情がうかがえる.また,日本医師会では昭和28年栃木県の下都賀郡医師会が医師会臨床検査センターを創設したのを皮切りに,今日では約160の医師会病院や検査センターをもち,地域医療開発の実践にのり出している.これは開業医と病院のあり方や地域医療の体制を,発達する医学の科学性から整頓しようという姿勢である.しかし,急激な検査の発達には,回顧すれば何でもかんでも検査一辺倒,ルーチン検査の無思考的普及の一時期があったとはいえないだろうか?また,その間に行なわれたおびただしい数にのぼる臨床検査は果たして正しい数値結果を生み出したであろうか?患者の個性を尊重した検査であったのか?高度専門化した検査を行なう検査技師の身分保証は?こうした諸問題をかかえて,第18回日本衛生検査学会は4月26-27日名古屋で開催された.
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