治療のポイント
急性腎不全
百瀬 俊郎
1
1九大泌尿器科
pp.654-655
発行日 1969年6月10日
Published Date 1969/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202690
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原因は多様
急性腎不全は非常に多くの原因により惹起される.一般にその原因の発生部位により,腎前性(prerenal),腎性(rena1),腎後性(postrena1)の3つに分けられているが,通常われわれが狭義のあるいは真の急性腎不全と称しているのは,この分類では腎性のものに相当する.その原因としては,外傷,外科手術,分娩,不適合輸血,各種腎毒性物質などによるものが大部分であり,組織学的に急性尿細管壊死(acute-tubular necrosis)の像を示す.最近の交通事故,大手術症例の増加や腎毒性を有する化学物質,医薬品の増加など,本症の発生は急激に増加し,しかもこれら疾患の予後は人工透析法が十分に応用される今日においても依然として不良であり,したがってその病理および病態生理の解明と治療対策は臨床上,大きな課題となっている.本稿では,紙面の都合上,腎前性,腎後性のものは省略し,腎性のものについてとくに乏・無尿期の治療を人工透析法を中心に述べる.
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