講演より
第3回東京=ニューヨーク・カウンティ医師会医学会議(東京・8月15-18日)から—大気汚染防止の法律と行政
橋本 道夫
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1厚生省環境衛生局公害部公害課
pp.1381
発行日 1968年11月10日
Published Date 1968/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202455
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ばい煙等規制法の成立
日本における大気汚染防止の行政は明治のはじめに
警察行政によるボイラーの取り締まりにより手がけられた.医学界の先輩である後藤新平は明治20年代にすでに都市の大気汚染についての警告を発し,都市保健対策に取り組むいとぐちをきった.
一方,鉱山の煙害は大きな社会問題となり,政府は明治の中期より法規制を実施したが,産業公害としての大気汚染については,微温的な対策ではあるが工場法の一部として取り扱われていた.大気汚染は市民生活に深く根ざした問題であり,戦後,法令の規制を始めたのは昭和24年の都条例である.このとき国は鉱山の煙害のみを規制し,都の努力にはなんら役だつことはしていなかった,昭和30年厚生省は生活環境汚染防止法案の成立を試みたが強い産業界や各省の反対により成功しなかった.昭和37年ばい煙等規制法が成立し厚生・通産両省の共管により施行された.この法律はスス,粉塵,亜硫酸ガス,無水硫酸による汚染の防止を目的とした.
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