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略語の解説・5
阿部 正和
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1慈恵医大内科
pp.549
発行日 1968年5月10日
Published Date 1968/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202194
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ATP
adenosine triphosphate:アデノシン-3-リン酸筋肉が収縮するときに,リン酸を一つ遊離し,同時にエネルギーを発する。つまり,ATPの端にあるリン酸結合は,きわめて結合が不安定で,しかもきわめて高いエネルギーをもつているのである。ATPからリン酸が遊離するときに働く酵素がATP-aseといわれるもので,この働きでATPはADP(adenosine diphosphate)つまりアデノシン-2-リン酸となる。ADPよりさらにリン酸が遊離すればAMP(adenosine monophosphate,adenylic acid)となる。
最近は,ATPを薬剤として利用し,筋肉萎縮,脳循環障害,心臓病などの治療を行なう傾向があるが,はたして体外から投与されたATPが細胞内に入つて,自然に体細胞内に存在しているATPと同じように働くかどうかは疑問である。実際に効果があるとすれば,細胞膜に対する作用なども当然考えなければならないだろう。
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