臨床経験より
腎血管性高血圧症の診断
飯田 喜俊
1,2
1淀川キリス卜教病院内科
2大阪市大和田内科
pp.902-904
発行日 1967年6月10日
Published Date 1967/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201828
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わが国における腎疾患の診断,治療の進歩は最近めざましいものがある。広い分野にわたつて多くの研究や臨床報告がなされているのであるが,これを米国で行なつているものと比べるとき,わが国ではとくに腎血管性高血圧症についてまだ遅れていることを知らされる。私が米国にいたあいだに実に多くのこの種の患者を経験したものであるが,わが国ではこれに比べてそれほど症例が多くないのが実情である。実際この疾患がわが国では少ないのであろうか,またあつても発見されないのか,少なくとも今後検査が広く行なわれるにつれて症例数も増えていくのでないかと考えられる。私のいた教室でもこの疾患の診断のために実に多くの検査がなされていた。たとえば経皮的にカテーテル法による選択的腎動脈撮影がしばしば行なわれ,まつたく日常茶飯時のことであつた。そしてたとえば,あるネフローゼ症候群を有する患者が受診したさいにも,その病歴,症状,検査所見などがふつうのネフローゼと異なる場合,というので,腎バイオプシーとともに腎静脈撮影を行ない,腎静脈に血栓症が発見されたこともある。その患者のネフローゼ症候群が血栓症によるものと判明し,手術が行なわれた結果,以前見られた著明な蛋白尿や浮腫も消失してしまった。
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