トピック
ペースメーカー患者の長期管理—「友の会」発足にちなんで
堀 原一
1
1東大・第二外科
pp.898-901
発行日 1967年6月10日
Published Date 1967/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201827
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いろいろの原因によつて起こる心ブロックのうち,失神発作やけいれんを主徴とするAdams-Stokes症状群の頻発が患者を悩ますことがある。これは低心拍出量のための脳血行不全によるものであるが,脳だけでなく心臓自体の冠状循環や肝・腎など主要臓器の循環が阻害される
こういう心ブロックに対して,近ごろ人工的な心臓ペースメーカーを長期あるいは患者の終生にわたつて心臓に植込み,電気刺激を心筋にパルスとして与えて心拍数の制御を行なおうとすることが,ほとんど常識となつて広く行なわれつつある。たしかに電極を心室壁に植込むには小なりとはいえ,外科手術を要するので,わが国においてはもちろん,外国においても従来は心臓ペースメーカーはほとんどすべて外科医の手中にあつた。しかし実際にこのペースメーカー植込みの対象となる心ブロックの大半は,むしろ内科的な疾患—多くは動脈硬化性病変の一部として起こるのであつて,ペースメーカーの歴史をみても,1954年に初めてこれを臨床的に着手したZollも,米国ボストン市Beth Israel Hospitalの内科医である。
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