グラフ
ARTHUS現象のAUTORADIOGRAPHY
加来 博
pp.334
発行日 1967年3月10日
Published Date 1967/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201687
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3H-compound autoradiographyの組織形態学への応用は,細胞活性や物質の代謝,さらには細胞の動態の追求に新しい分野を開いた。この方法によると,一般に表皮下における炎症は,表皮細胞のDNA合成を促進し,細胞増殖を旺盛にすることが明らかとなつた1)。また,表皮細胞内でのRNAや蛋白の合成もいちじるしく活発になる。その結果,表皮細胞の交代は早くなり,Keratinの生成は増加し,表皮の肥厚,棘細胞層の増加,rete ridge延長,過剰角化,錯角化,落屑などの現象がもたらされると考えられる。アレルギー性炎症によるものでは,個体の側に,特定の刺激に対しての準備状態があるところが,単一的な原因による炎症の場合と異なつている。Arthus現象2)やDNCB感作3)による表皮の動態の研究は,このようなメカニズムを実験的に分析する手段として,アレルギー性皮膚疾患の病理を理解するうえに意味がある。
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