EDITORIAL
医学教育における病院実習の価値
織畑 秀夫
1
1東京女子医大外科
pp.633-635
発行日 1966年5月10日
Published Date 1966/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201289
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病人を救う医学教育
大学の医学部あるいは医科大学の学生の卒業後を見ると95%が臨床医として病人の治療にあたつている。したがつて大学における医学教育の主目的はすぐれた臨床医を育てることにあると考える。もちろん医学は広い範囲をもつので,ただ治療を主とする臨床医学だけでたりるものではない。しかし医学の発祥をたどれば,たぶん病入を病気から救うことが第一歩であつたと思う。病人を病苦から救うことは昔も今も医学の最大の仕事であることに変わりはない。病人の治療に努力するところから予防に対する配慮が生まれ,防疫,公害防止その他の公衆衛生の研究も進むわけである。
したがつて医学教育の主体は入間の生命の神秘にふれて,その生理的機構を学ぶことと病人を救うこと,すなわち病人について,いかにして病的生理機構をなおすか,また苦痛をのぞくかということを学ぶという2点にあると考える。大学における医学教育はこの2点をかぎられた期間にもつとも効果的に行ない,しかも将来,卒業後の医師たちがいつそう向上して,病人を救ううえに,また社会福祉のうえに大いに貢献するように協力,指導するべきものと思う。
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