治療のポイント
肝疾患と脂肪
高橋 忠雄
1
1慈恵医大内科
pp.208-209
発行日 1966年2月10日
Published Date 1966/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201176
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脂肪制限は必要か
肝疾患と診断された—あるいはその疑いをもつた—患者の大多数が,心ならずも金科玉条として守つている養生法のひとつは,脂肪食餌の厳格な制限であろう。つまり,肝疾患に対しては脂質を多く含む食品は有害に作用するという考えは,患者だけでなく,医師の大多数にも,現在なおその頭のなかに根強く残されていると思われる。しかし,これはどんな根拠にもとづいているのであろうか。
今世紀の初めから四半世紀ほど経過するまでのあいだに発表された研究のうち,この問題に関するものには,およそふたとおりの流れが見られる。ひとつは脂肪の多い食餌によつて,動物に脂肪肝が発生しうるという観察であり,もうひとつは,種々の有害因子によつて肝障害を起こさせるさいに,脂肪豊富食で飼育した動物では,それらのNoxeに対する抵抗が弱いという成績が数多く見られているということである。
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