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臨床医の新しい生き方
川上 武
1
1杉並組合病院内科
pp.121-123
発行日 1966年1月10日
Published Date 1966/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201155
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患者の運命に結びつく臨床医の姿勢
臨床医(患者を診療する医者)の理想像よりすれば,その間に上下・優劣の差別があるのは好ましいことではない。生死の境にある一人一入の患者にとつて,主治医のいかんによつて寿命が左右されるというのは,やりきれないに違いない。現実に,"医者の選び方も寿命のうち"という声が一部でしばしばきかれるのは,患者がなんとかしてそのような事態をさけようとする悲鳴であろう。
人間の寿命が大局的には,医療技術の進歩・社会構造のあり方に支配されているのは,平均寿命の延長の分析よりみても明らかである。明治年代には40歳代を低迷していた日本人の平均寿命が,現在では男子69歳,女子70歳強というのは,臨床医のレベル以前の条件の変革に負うているところが大きい。
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