EDITORIAL
知覚の検査
佐々木 智也
1
1東大物療内科
pp.1149-1151
発行日 1965年8月10日
Published Date 1965/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200932
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ふたたび神経疾患診断のかなめについて
神経疾患の診断は正確にとらえられた現症を組織的に分析すれば,巨大で高価な診断器具を使用しないでもかなり適確に行なわれる。一方,もし仮りに,中央検査室で行なわれているすべての検査を実施したとしても,神経学的な現症が不十分であれば診断はくだせない。すなわち,神経疾患の診療には医師のもつている五感を縦横に駆使して初めて得られるものの価値が大きく,医師以外の技術員はあまり頼りにならない。もちろん,これはすべての臨床検査法が無意味であるというのではなく,髄液検査,ミエログラフィー,脳血管造影,気脳法,酵素活性などの価値は大きい。
さて,このようにたいせつな神経学的現症は,あくまで正確な方法,手順によつて調べられ,記録されなければならない。そのすべてについて述べるのは,紙面のつごうもあり不可能であるので,知覚の検査について述べたい。知覚の検査は神経疾患の部位診断にはもつとも有効な方法であることはよく知つていても,どのような注意をして,何を利用して,どのようにして行なつたらよいかは案外知らない場合があるように思われる。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.