最も印象に残った本
医学の正しい常識と研究に対する情熱の火を—冲中重雄著「医師と患者」をよんで
日野原 重明
1
1聖路加国際病院・内科
pp.882-883
発行日 1965年6月10日
Published Date 1965/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200871
- 有料閲覧
- 文献概要
戦後から今日までの論文随筆の集大成
最近,東大名誉教授で,現在虎ノ門病院長の冲中重雄博士が,東京大学出版会から,「医師と患者」という題の著書を出された。冲中教授は国際的に有名な自律神経系統の研究家であるが,同時に医学教育家として,また,内科の臨床家としての実積は先生の右に出る人は少ないと思う。その先生が,大学入学以来40年近く通われた東大を去って,民間の総合病院長として,新しい角度から,医学や医療を再検討されつつ,先生の序文によれば,「頭のきりかえの必要をせまられるような体験」のさ中に戦後から今日までに雑誌や新聞に臨床医学や医学教育,医療について書かれた論文随筆をまとめて出版されたのが,この著書である。
342頁を5章にわけ,1章は「医師と患者」,2章は「老人と病気(心臓,癌,脳出血)」,3章は「自律神経雑感」,4章は「某月某日」,5章は「先達追憶」,6章は「明日の医学」について書かれてある。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.