治療のポイント 生活指導
胃下垂症の生活指導
日野 貞雄
1
1胃腸病院
pp.700-702
発行日 1965年5月10日
Published Date 1965/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200819
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
胃下垂症の本態について
まずはじめに胃下垂症とはどんな疾患かということをのべておかねばならない。衆知のごとく,胃が下つているだけで胃下垂症という病名を与えるのは誤りといわねばならない。胃が下つているだけなら長胃Lang-magenというべきで,牛角胃や鈎状胃と同じように一つの胃型というべきであろう。胃下垂症の胃は下垂とともに緊張の低下をともなうことが条件になつている。つまり胃液分泌を除いた胃機能が低下しているということができる。
しかし私は胃下垂症は胃だけの病気とは考えていない。胃以外の腹腔臓器の下垂,これにともなう機能低下ということも当然ともなつている。たとえば大腸の下垂,アトニーは便秘という症状を現わし,胆嚢や腎臓の下垂は胆道ジスキネジーや遊走腎として症状を現わすことがある。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.