EDITORIAL
神経学的所見を正確に
佐々木 智也
1
1東大物療内科
pp.185-187
発行日 1965年2月10日
Published Date 1965/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200680
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もつと神経学的な診断法を
神経系疾患の診療をとくににが手としている内科医は少なくない。卒中発作があつて片麻痺が残れば脳血管損傷を第一に疑がう程度の知識は医師でなくとも持ち合わせているのに,内科の医師たるものがそれ以上に出ない状態にとどまることすらある。このようなはなはだ失礼な表現に対してはもちろん強い反論があるであろう。卒中および卒中後麻痺についてだけ考えても,医師の持つ知識は一般人をはるかに上まわつているし,すべての神経疾患の中で脳卒中後麻痺がもつとも数が多く,危険でしかも治療効果が挙がるから,これに関する知識が他の神経疾患と比較にならぬ程に豊富であるのは当り前だといわれそうである。しかし,ここで強調したいことは,脳卒中後麻痺に対する知識は十分であつて欲しいが,それ以外の神経疾患についても記憶の外に放り出さず,神経学的な診断法に関しても医師らしくあつてほしいという点である。重要な疾患については深く,平均的には一定のレベルまでの知識は必要であろう。
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