海外だより
医学教育・医療組織の優秀さ—ミネソタ大学,ヘンリーフォード病院の印象
杉本 公允
1
1淀川キリスト教病院
pp.1058-1059
発行日 1964年10月10日
Published Date 1964/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200521
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1959年9月,私はそれに先だつ3ヵ月間のミシガン大学語学特殊コースを終了して,ミネソタ大学医学部生化学教室の研究客員として同大学に通う身となつた。ミシガン大学では最近,雑誌などに伝えられている東条英機のお嬢さんなども一緒であつた。ミネソタは寒い所とは聞いていたが実際10月中旬にはもう完全に冬で,雪の降る日がつづき11月になると連日のように氷点下何度という日の繰返しであつた。ここで私は,肝疾患研究分野で有名なホフバウエル教授やワトソン教授らの臨床講義に毎週出席するのが楽しみであつた。何しろ外はそのように寒い気候であるのでいやでもいろいろの講演に出席せざるを得なかつたのが実状である。ミネソタ大学で印象に残つた点は,まず,その医学生教育に対する各教室員の意気込みの点であつた。三年生になつてポリクリが始まると,まず大学病院の外来の内科に全員配置される。そして各新患者は一応全員,かならず内科外来を受診することになつていて,そこでstaff doctorから,各専門の科,たとえば耳鼻科とか眼科,外科という具合に患者を送られる。その際,その患者の予診を取り診察に当つた学生が,最後まで患者について廻つて行くことになつていた。したがつて,受持つた患者が外科へ送られたら,その学生はその患者について外科に行き,そこでstaff doctorから鍛えられる。
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