書評
―荒木 力 編集―腹部のMRI―第3版
角谷 眞澄
1
1信州大学・画像医学
pp.1217
発行日 2014年7月10日
Published Date 2014/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107677
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MRIの第一人者,荒木 力先生編集による「腹部のMRI(MRI of the Abdomen)」の初版がメディカル・サイエンス・インターナショナルから発刊されたのは,2000年4月である.腹部MRI診断に関する最新のtextbookの必要性に迫られ登場した本書は,編者の狙いどおり腹部MRIのstate-of-the-art(最先端をいく,最高水準の内容)として受け入れられ,「一般臨床に役立つ教科書」としての地位を瞬く間に築き上げた.目を見張るようなMRIの進歩に呼応し,2008年には改訂第2版が,そしてこのたび2014年4月には第3版が刊行の運びとなった.初版の448ページ,第2版の516ページをはるかに凌ぐ620ページからなる第3版では,各章のアップデートはもとより,肝細胞性造影剤とエラストグラフィの項が新たに加わり,3T装置の特徴についても詳細に解説されている.その結果は“Stay tuned!”(チャンネルはそのまま)なる編者の願いどおり,「紐解いた誰もが手放せなくなる一冊」に仕上がっている.
本書をさらに具体的に紹介しよう.中扉などにブルーを配した2色刷に変身し,目次を含め大変見やすくなっている.「MRIは略語の世界」で,同一の撮像法でも装置メーカーが異なると呼称が違ってくる.このことが初学者をMRIから遠ざける一因にもなっているのであるが,本書では,頻出する86の略語の正式英文と日本語訳が3ページにわたる一覧表として目次の次に掲載されている.編者ならではの気配りが心憎い.
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