書評
腹部のMRI 第2版
大友 邦
1
1東京大学大学院放射線医学
pp.1421
発行日 2008年8月10日
Published Date 2008/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103499
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上腹部から骨盤を含む腹部領域のMRIについてのオーソドックスな教科書として定評のあった「腹部のMRI」の改訂版がこのほど出版された.序文で編集者の荒木 力先生が,4年に1回開催されるサッカーのワールドカップやオリンピックを例に挙げて,技術革新がめざましいMRIを扱う以上は「改訂しなければチャンネルを切り替えられてしまう.“Stay tuned!”というわけです」と8年ぶりの改訂の目的を簡潔に表現されている.
基本的枠組みは初版を踏襲しているが,この間に腹部MRIに大きな影響を与えたさまざまな進歩(SSFPなどの撮像法,パラレルイメージング,3Tそして肝特異性MRI造影剤)が総論(執筆はもちろん荒木 力先生)として巻頭に加えられた.またMR interventionおよびMR内視鏡に代わってDWIBS(執筆はもちろん高原太郎先生)が加えられ,拡散強調画像の原理,各種の用語解説,DWIBSの概念・施行方法・臨床的有用性・問題点が懇切丁寧に記述されている.加えて,臓器別の章ごとに,MRCP,MRUを含めた最新の撮像法とそれらの活用性と有用性が紹介されている.各論では特に膵臓の嚢胞性腫瘍が漿液嚢胞腺腫,粘液嚢胞腫瘍,そしてIMPNに分類され,鑑別のポイントがわかりやすく解説されている.また,MRIが画像診断の主力となっている婦人科領域では,付属器について,系統的記載がなされ,内容的にも大幅に拡充されている.
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