連載 そのカルテ,大丈夫ですか?誤解を避ける記載術・6
―「種類の異なる事実を書き分ける」①―複数解釈可能な記載
神田 知江美
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1かすが・國塚法律事務所
pp.977
発行日 2014年6月10日
Published Date 2014/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107620
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◎「種類の異なる事実」とは
「事実を正しく認定してもらう」ためのポイントの3つ目は,「種類の異なる事実を書き分ける」ことです.「種類の異なる事実」には,「主観的事実」「客観的事実」「医学的判断を経た事実」があります.
例えば,看護師から「患者さんが息苦しいと訴えています」と連絡があり,診察すると胸部聴診上異常所見はなく,SpO2は98%でした.そのため,カルテには「著変なし」とだけ記載,あるいは何も記載せずに経過観察としたのですが,一方で看護記録には「呼吸障害あり,Dr. call.経過観察との指示」と記載されていました.普段,このようなことは臨床現場ではほとんど問題になりませんが,裁判では大きな問題となります.
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