書評
心電図を学ぶ人のために第4版
木野 昌也
1
1北摂総合病院
pp.99
発行日 2006年1月10日
Published Date 2006/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107574
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本書は1979年の初版発行以来版を重ね,多くの読者から大変高い評価を受けている.初版以来,実に25年の歴史を重ねている,わが国の医学書のなかでも希有な存在である.この本を入門書として愛読され,現在は内科医,循環器専門医,あるいは専門ナースとして臨床の第一線で活躍している方もたくさんおられることであろう.第4版では図版が全面改訂され,新知見が追加されている.
なぜ,この書がこれほどまでに,多くの方に長く読み継がれているのであろうか.心電図の学習を困難にさせている理由は,人の目には見ることのできないきわめて微量の電気現象を三次元的に理解しなければならないからである.心筋細胞の電気現象が,心臓の働きとどのように関係しているのか.病気の心臓では,電気現象はどのように変化するのか.あるいは人の体に異常が発生したときに,心電図にはどのような変化が起こるのか.心電図だけを勉強しても,これらの疑問には答えることができない.解剖学,生理学,生化学,病理学,ひいては臨床の豊富な知識があって,初めて理解できるのである.この本は初心者のために書かれた心電図の入門書ではあるが,心臓病学についての入門書としてもお勧めの書である.
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