REVIEW & PREVIEW
Helicobacter pyloriと胃癌
田中 昭文
1
,
徳永 健吾
1
,
高橋 信一
1
1杏林大学医学部第三内科
pp.550-553
発行日 2014年3月10日
Published Date 2014/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107391
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1983年にWarrenとMarshallがHelicobacter pylori(H. pylori)の分離培養を初めて報告して以来,H. pyloriと胃炎,消化性潰瘍,胃癌などとの関係が明らかとなってきた.特に,H. pylori除菌による消化性潰瘍の再発抑制効果は明らかであり,わが国においても2000年11月より胃・十二指腸潰瘍に対するH. pyloriの検査・治療が保険適用となった.
その後,ほとんどの胃癌はH. pylori感染を背景に発生することが疫学,動物実験,臨床研究において明らかとなり,H. pylori除菌による胃癌発生抑制の有無が注目され,介入試験が行われてきた.2008年に,わが国のJapan Gast Study Group(JGSG)は早期胃癌内視鏡治療後の異時性胃癌(二次癌)に対する多施設無作為比較試験において,H. pylori除菌は有意に二次癌を抑制すると報告した1).また,2009年1月にはH. pylori感染の診断と治療のガイドライン2009改訂版2)が発表され,すべてのH. pylori感染者に対し除菌を行うよう強く勧められるとした.
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