特集 内科診療にガイドラインを生かす
がん検診
消化器領域―胃がん検診に関するエビデンス
斎藤 博
1
1国立がん研究センターがん予防・検診研究センター
pp.480-487
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107151
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
がん検診に役立つ国内外のガイドライン
がん検診ガイドラインは,わが国では厚生労働省研究班により,科学的根拠に基づいた手法で作成されており,消化器がんについては大腸がん1),胃がん2)についてそれぞれ2005年,2006年に発行されている.海外ではガイドラインとは異なるが,米国国立がん研究所(National Cancer Institute:NCI)の「Physician Data Query®(PDQ®)」で検診法の評価が記述されているほかは,科学的根拠に基づくものはなく,コンセンサスによるレポート等である.
本稿に課せられた主題は,有効性がまだ確立されていないが一部で議論のある“controversial”な消化器がん検診についてである.実は検診の有効性そのものの判断が分かれて,controversialになることは科学的根拠で判断すればそれほどありがちなことではない.わが国でしばしば「議論」が起こるのは評価のエンドポイントをはじめ,科学的根拠によらない有効性の過大評価/誤認が多くなされていることに主な原因がある.科学的根拠に基づくがん検診ガイドラインの必要性の所以である.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.