特集 内科診療にガイドラインを生かす
循環器疾患
肺高血圧症
中西 宣文
1
1国立循環器病研究センター研究所肺高血圧先端医療学研究部
pp.81-85
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107083
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内科診療に役立つ国内外のガイドライン
肺高血圧症は旧来より予後不良の疾患であることが知られていた.しかし,その症例数は多くはなく治療薬も存在せず,よって近年まで肺高血圧症診断・治療ガイドラインの必要性は乏しかったと言える.しかし,1990年以降に,特に肺動脈性肺高血圧症に対する内科的治療薬が開発されたことが契機となり,肺高血圧症に関する国際会議で治療方針の検討が開始された.そして2008年に米国ダナポイントで開催された第4回肺高血圧症ワールドシンポジウムでは,本症の定義や臨床分類・治療のエビデンスなどが討議され,この結果は2009年に「ACCF/AHA 2009 Expert Consensus Document」と「ESC/ERS Guidelines for the diagnosis and treatment of pulmonary hypertension」として成文化された.さらに2013年には第5回肺高血圧症ワールドシンポジウムがニースで開催され,その討議内容の一部とわが国独自の治療エビデンスを取り入れた日本循環器学会の「肺高血圧症治療ガイドライン(2012年改訂版)」もWeb上で公表された.現時点では,これらが代表的な肺高血圧症に関するガイドラインといえる(表1).
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