書評
―大塚邦明 著―『時間内科学』
尾前 照雄
1
1国立循環器病研究センター
pp.1399
発行日 2013年8月10日
Published Date 2013/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106956
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本書は「時間内科学」という大胆なタイトルで,時間生物学研究の歴史とともに時間医学発展の経過と現状が記述されたユニークで魅力的な解説書である.長年この分野の研究に情熱を注がれた著者自身の研究成果と見解がこの1冊に集約され,今後の発展についての夢が語られている.内科学の基礎である健康の保持と疾病の予防,診断と治療,リハビリテーションのすべての面で生体リズムに視点をおいた見解の発展が今後大いに期待されている.
Circadianという言葉は通常の辞書には記載がないが,“circa”は「約」,“dian”は「24時間」を意味している.この表現を最初に用いたのは1959年,米国ミネソタ大学のFranz Halberg教授である.彼は時間生物学(生体リズム研究)とともに「時間医学」という新しい医学概念の提唱者である.著者は長年同教授とも親密な関係を保ち共同研究を行い,本書の冒頭に彼の推薦の言葉が述べられている.
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