書評
―佐々木彰一 著―神経内科学ノート―国試から臨床まで
岩田 誠
1,2
1東京女子医科大学
2メディカルクリニック柿の木坂
pp.1061
発行日 2013年6月10日
Published Date 2013/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106863
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数年前に私の親しい友人で,長年の同僚である佐々木彰一先生から,学生向けの教科書を執筆中であると聞いた私は,これはきっと役に立つ素晴らしい教科書ができるに違いないと思った.私たちが共に働いてきた東京女子医科大学では,国家試験の受験を迎える最終学年の学生に対し,各領域の復習として補講を行ってきたが,それに際しては,学生たちにどの教師の講義を聴きたいかのアンケートをとり,その結果に従って補講カリキュラムを組んできたのだが,神経内科領域では毎年佐々木先生の希望が最多であり,いつも彼に講義をお願いしていた.佐々木先生から教科書執筆のことを聞いた途端に,このことを思い出し,その教科書の刊行を心待ちにしていたのである.
数日前,その教科書を佐々木先生自身から手渡されたとき,私はまず,グレイの落ち着いた表紙からなるスマートな外見に感心した.そしてページを繰ると,目に飛び込んでくるのは,実に美しいカラー図版の口絵である.佐々木先生は,大変に経験豊富,かつ優れた判断能力をもつ神経内科の臨床医であると同時に,ニューヨークのモンテフィオーレ・メディカルセンターにおいて平野朝雄先生の下で神経病理学を学ばれ,形態学の蘊奥を究めた研究者でもある.本書冒頭の口絵は,形態学者としての彼の面目躍如たるものであり,それを見ているだけでも,ほれぼれとする思いである.
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