REVIEW & PREVIEW
IgG4関連疾患と大動脈・冠動脈病変
石坂 信和
1
,
谷川 淳
1
,
武田 義弘
1
1大阪医科大学循環器内科
pp.1998-2000
発行日 2012年11月10日
Published Date 2012/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106535
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ヒトIgG4は,通常はIgGの約4%を占めるに過ぎないIgGのうち最も少ないサブクラスである.悪性疾患を含めたさまざまな膵疾患のなかで,自己免疫性膵炎において,血清IgG4値が上昇していること,膵組織でIgG4陽性の形質細胞が増加していることが報告されたのは約10年前である1).その後,同様の病態が内・外分泌器官,眼,肺,皮膚,腎臓など幅広い組織において,さまざまな表現型を伴って生じることが明らかになり,「IgG4関連疾患」と総称されるに至っている2).IgG4関連疾患,と呼ばれる疾患において,IgG4は補体の活性化作用をもたないとされている.IgG4関連疾患と呼ばれる疾患において,IgG4が関与する(自己?)免疫反応が,その病態形成に主たる役割を果たしているのかどうか,もしそうであるならどのような機序か,ということは現時点では明らかではない.しかしながら,いままでよくわからなかった病像が,IgG4関連疾患という切り口で眺めると明瞭に理解できるケースがあることも事実であるし,ステロイド治療により病像が劇的に改善することも少なくないこと,本邦で提唱された疾患概念であること,などもあいまって,さまざまな診療領域において,IgG4関連疾患はひとつのブームとなっている.
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