SCOPE
日本における高尿酸血症・痛風診療を支える医療構造についての一考察
山中 寿
1
1東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター
pp.1441-1446
発行日 2012年8月10日
Published Date 2012/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106109
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現在,全世界的に痛風,高尿酸血症に大きな関心が集まっている.図1にPubMedにて検索(hyperuricemia OR uric OR urate OR gout)した英文論文数を掲載する.2000年以降,急速に増加していることが明白である.これはフェブキソスタットの開発経緯とも符合しており,新しい薬剤開発が進行するとエビデンスが増加することを示す1例であろう.確かに,40年ぶりの尿酸降下薬フェブキソスタットや重症痛風患者に対するインターロイキン-1(IL-1)阻害薬カナキヌマブが発売されたことが一つの契機と考えるが,米国リウマチ学会(ACR)で痛風に対するリコメンデーションが作成されたりして痛風のマネジメントの必要性がとみに強調されてきた.治療抵抗性の重症痛風も多く,2011年にシカゴで開催されたACRの痛風セッションでは非常に多くの聴衆が参加していたのが印象的であった.
一方,日本においては痛風のみならず高尿酸血症に対するマネジメントも比較的良好であり,日本痛風・核酸代謝学会が2002年に作成した高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインと2010年のその改訂版に示されているように,治療体系はほぼ確立している.本稿では,この相違は日本の優れた医療体制そのものに起因すると仮説し,その要因を考察する.
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