今月の主題 痛風・高尿酸血症診療の新展開
序章
痛風・高尿酸血症をめぐる動向
細谷 龍男
1
1東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科
pp.1304-1306
発行日 2012年8月10日
Published Date 2012/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106079
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本邦では第二次世界大戦以前には痛風は稀な疾病で,一例報告ができるような状況であった.そのため日本人は遺伝的に痛風,高尿酸血症を発症しにくいのではないかとの説が信じられるほどであった.ところが戦後日本が復興し,それに伴う食生活の欧米化,アルコール摂取量の増加などにより,痛風は急増し,現在では日本の痛風患者は80~90万人と推定されるに至っている.それとともに高尿酸血症の人数も著しく増加し,成人男性の20~25%,とくに30代の男性では30%以上にも達するといわれ,その人数は数百万人と推計されている(図1).
この間のこの分野における臨床,研究の発展は目覚ましいものがあった.20世紀は後半から21世紀初頭にかけてHGPRT欠損症,PRPP合成酵素亢進症,APRT欠損症などの疾病が分子学的あるいは遺伝学的に解析され,その診断も確実かつ容易なものとなった.
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