連載 研修おたく 指導医になる・6
ベッドサイド ティーチング(2)―一度始められた延命治療を止める過程
白井 敬祐
1
1サウスカロライナ医科大学
pp.1277
発行日 2012年7月10日
Published Date 2012/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106068
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治療を控えたり,延命治療を始めない“withhold”や,治療のレベルを上げない“Do not escalate”と,一度始められた延命治療を止める“withdraw”は,大きく意味合いが違います.
前回,進行の速い肺癌で呼吸不全に陥った患者が挿管された事例を紹介しました.このケースでは,意識のある段階で本人に確認をとったうえで挿管がなされました.ただ最大限のサポートでも酸素化は悪く,昇圧剤も必要になりました.一緒に付き添っている妻は朝の回診でも説明を受け,現状を冷静に受け止めていました.夜にはもう一人の娘がニューヨークからやってきます.当直の研修医はフェローと一緒とはいえ,顔には不安の色がうかがえます.あなたが指導医なら,どのように研修医を導くでしょうか.「一緒について来い」と,家族を集めてあなたの説明を聞かせますか.それとも獅子の子落としのように「とにかくやってみろ」と突き放しますか.
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