今月の主題 神経疾患common diseaseの診かた―内科医のためのminimum requirement
神経系以外の内科疾患の診療で遭遇する神経症状の診かた
甲状腺疾患に伴う神経障害
矢部 一郎
1
1北海道大学大学院医学研究科神経内科学
pp.1360-1363
発行日 2011年8月10日
Published Date 2011/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402105311
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ポイント
★甲状腺疾患では多彩な神経症状を呈する可能性がある.特に意識障害,けいれん,認知障害,姿勢時振戦,筋力低下,筋萎縮,外眼筋麻痺には留意が必要である.
★神経徴候があり,一般身体所見において,頻脈・徐脈や心房細動を含めた不整脈,血圧異常,発汗異常,浮腫を認めた場合には甲状腺疾患が背景に存在する可能性を念頭に置く.
★橋本脳症は橋本病に伴う自己免疫脳症で,多彩な神経症状を呈する.正常甲状腺機能の症例が多く,抗ペルオキシダーゼ抗体および抗サイログロブリン抗体を必ず測定する.
★血清中α-エノラーゼN末端に対する抗体は橋本脳症において特異性が高く,診断の一助となる.
★甲状腺眼症は,自己抗体が眼球周囲の脂肪や外眼筋中などで炎症を起こし,さまざまな眼症状をきたす自己免疫疾患である.外眼筋麻痺がある場合には重症筋無力症との鑑別を要する.
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