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『プロメテウス解剖学アトラス』の第1巻として「解剖学総論/運動器系」が刊行されて以来,それに続く「頸部/胸部/腹部・骨盤部」の出版を,まだかまだかと大変に待ち遠しかったのは私だけではないだろう.第1巻でその図の美しさ,精密さがすでに示されていたわけであるから,続編の質が極めて高いことは想像に難くなかった.実際に,本書を手にとり,そのページを開いて,思わず「にんまり」としないわけにはいかなかった.
「解剖学総論/運動器系」ではその名の通り,「アトラス」としての役割が高い本であると感じたが,今回の「頸部/胸部/腹部・骨盤部」ではアトラス的な要素はもちろんであるが,「解説書」「教科書」的な要素が多くなり,特に基礎科学として解剖学的な見地から内臓学を学ぶとともに,臨床医学に直結する内容が豊富に散らばっており,工夫がなされている様子がよくわかる.例えば間接喉頭鏡の観察像,呼吸による肺容積の変化や力学的な影響,胃粘膜の内視鏡像,種々のX線画像,臓器と神経支配の図などが「ここ!」というポイントに示され,学ぶ楽しみを引き出そうとする著者の思いがにじみ出ている.内臓系が中心ということもあり,発生学的な説明や生理学的な機能面での解説も多く見られ,充実した「アトラス」になっている.最終章で扱っている「各器官に分布する神経・血管・リンパ管」では,非常に簡潔に単純化した内臓と神経,血管,リンパ管との関係が示されている.この単純化された関係図を見ながら,詳しい教科書の記述を読めば,これらの仕組みを能率よく身につけることができる.まさに「自ら学ぶ」ための道標としても利用でき,解剖学における少人数のチュートリアル的学習などにも活用できると感じた.
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