書評
プロメテウス解剖学アトラス 胸部/腹部・骨盤部 第3版
池上 浩司
1
1広島大・解剖学及び発生生物学
pp.885
発行日 2020年7月25日
Published Date 2020/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408201758
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『プロメテウス解剖学アトラス』の『胸部/腹部・骨盤部』は初版が2008年,第2版が2015年の発行であり,初刊行から12年,第2版から5年の歳月を経ての改訂である.『解剖学総論/運動器系』『頭頸部/神経解剖』がそれぞれ2017年,2019年に第3版に改訂され,残るはこの1冊のみと待ちに待った待望の改訂版である.他の巻と合わせて3巻で1500ページ,他の解剖学アトラスの2倍以上と,圧倒的情報量を誇る邦訳プロメテウスの第3版(原書第4版)がここにようやく完成した.
本書の特徴の第一は初版から続く圧倒的美しさのイラストであろう.人体はある種の芸術作品であると感じることが多いが,本書の図はそれをさらに強く感じさせてくれる.爽やかさすら感じさせるイラストは,勉強というよりも写真集を眺めるように学ぶことを可能にしてくれる.他のアトラスの2倍を超えるページ数故に可能となる,詳細な,それでいて簡潔な説明の数々はもはや「アトラスを超えた読み物」とも言えよう.とりわけ心電図の解剖生理学的解説,疾患例のみならず診察や治療術の例示,各種読影法などの臨床医学的内容は,解剖学を学ぶ低学年学生にとっては学びの目的を明確にし,臨床を学ぶ高学年学生や研修医にとっては臨床で遭遇するさまざまな問題の本質的理解の助けになるはずである.
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