書評
新・膠原病教室
近藤 啓文
1
1北里大学北里研究所メディカルセンター病院リウマチ・膠原病内科
pp.1181
発行日 2009年7月10日
Published Date 2009/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103994
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「新・膠原病教室」は順天堂大学膠原病内科橋本博史名誉教授の新著である.橋本教授が14年前に上梓した「膠原病教室」の精神を受け継ぎながら全面的に改定し,up-to-dateにしたものである.橋本名誉教授は膠原病の臨床と研究でわが国の誇るべき最も優れた医学者の一人である.特にその臨床の力量はわが国で最も多い症例数を誇る膠原病内科を主宰した経験に基づいて得られたものである.橋本教授は教室における豊富な症例を解析し,素晴らしい臨床研究の成果に結実させ,膠原病に関する多くの専門書,一般書を上梓している.さらに教育者として多くの膠原病・リウマチの専門医を育て世に送り出した.本書はそこで培われたノウハウに基づいて著されたものである.
本書を一読すると,まず橋本教授の臨床医・教育者としての力量が本書の組み立てで明らかになる.286ページのうちの三分の一を割いて膠原病の基礎について記述されている.膠原病の歴史から始まって,その位置付け,病態形成機序,膠原病にみられる臨床像や検査所見,そして治療に当てられている.医学生の教育ではこれほど詳細には教えていないので,学生に膠原病への関心をもたせる参考書としてとくに有用な部分である.治療薬については,最新の生物学的製剤を含めて作用機序から副作用までまとめて記されており,診療の現場で極めて有用である.
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