今月の主題 肺血栓塞栓症 見逃さず迅速かつ的確な対応を
扉
山田 典一
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1三重大学大学院医学系研究科循環器内科学
pp.707
発行日 2009年5月10日
Published Date 2009/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103886
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肺血栓塞栓症は,わが国で増加していることが指摘されている.また,本疾患の原因である深部静脈血栓症の入院患者における発生頻度は危険因子を有する場合には,日本人でも欧米人と大差のないことが明らかにされてきている.
増加している病院内発症を減少させるために,2004年にはわが国でも予防ガイドラインが公表され,厚生労働省により肺血栓塞栓症予防管理料が承認された.以降,入院患者に対する一次予防が急速に普及したものの,日本麻酔科学会のアンケート調査では周術期の肺血栓塞栓症による死亡率は予防策導入後にも改善していないこともわかってきた.今後,本症による死亡率を減少させるための対策としては,さらに各症例に適した一次予防を普及させるとともに,発症後の早期診断と早期治療の徹底が不可欠である.
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