今月の主題 苦手感染症の克服
コラム
米国感染症研修事情
本田 仁
1
1ワシントン大学
pp.606
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103876
- 有料閲覧
- 文献概要
米国でひとえに感染症の研修といっても,施設,地域によって受けることのできる研修には実は差があります.裏を返せば,それは各研修施設の長所や短所につながるのです.もちろん,規定された核となるカリキュラムにより一定の質は保たれますが,HIV患者層の多い東海岸,西海岸ではより密度の濃いHIV研修を,巨大な癌センターや移植が盛んな施設では免疫不全患者の治療により従事することができるでしょう.カリキュラムもclinician track(計2年で臨床中心),clinical investigator trackやbasic investigator track(計3~4年で臨床に加え,臨床研究もしくは基礎研究に従事)と臨床,研究,その両方に力を入れているプログラムが存在します.
病棟のコンサルトチームは,一般感染症チーム,免疫不全(骨髄移植,臓器移植など)チームですが,場所によりHIVチームもあります.また,小さなプログラムでは自施設で足りない研修を近隣の大きなプログラムで補うこともあります.指導医のもち味も,生粋の臨床好きな指導医,自分の研究分野を臨床にうまく反映している指導医,研究中心で臨床から離れた指導医,異文化を許容できる,しない指導医,おしゃべり好きな,寡黙な指導医,共和党,民主党派の指導医,とにかくさまざまです.各指導医間に多少の治療方針の違いがあり,そこに教科書にはない指導医の思考が見え隠れしていて,それを学ぶのも楽しいものです.
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.