米国での医療DX事情

Medical digital transformation in the United States

要旨：筆者は2022年9月より米国ケンタッキー州（KY州）のNorton Leatherman Spine Centerにて，research fellowそしてclinical fellowとして勤務している。米国では，自身のPCで電子カルテ情報にアクセスしたり，電子カルテの情報を見やすくまとめたアプリを携帯電話で閲覧しながら，回診・手術準備といった通常業務やオンコール業務を進めている。当施設の電子カルテは最新のDXというわけではないが，在宅でも病院の電子カルテにアクセスができ，関連施設もカバーしており，医療提供者側の負担が少ない。しかし外部からの攻撃に晒されるリスクがあり，実際に2023年5月にBlackCatランサムウェア・グループからの攻撃を受ける事例があった。多くの個人情報が流出し，電子カルテの復旧に時間を要した。こうしたリスクを踏まえても，米国ではDXの恩恵を受けて医療者も家族との時間を十分にとっている印象である。