特集 目でみる診療基本手技
診療手技
注射法
内頸静脈カテーテル挿入法とその管理
網谷 英介
1
1東京大学医学部附属病院循環器内科
pp.80-84
発行日 2008年12月20日
Published Date 2008/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103680
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中心静脈とは右房に近接した大静脈のうち,胸郭内に位置する部分にあたり,内径が太く,虚脱しにくい性質をもつ.この部位にカテーテルを挿入し留置することを,中心静脈カテーテルという.このカテーテルを通じて確実に薬剤を血管内に投与することができ,また高濃度の薬液の注入も可能である.心臓に近いため,救急時の薬剤投与ルートとしても有用であり,中心静脈圧を測定することで体液のボリューム評価の情報も得ることができる.
中心静脈カテーテルの留置部位としては,内頸静脈,鎖骨下静脈,大腿静脈より選択することが多いが,各部位の利点・欠点を認識したうえでそれぞれの症例において適当と思われる場所を選択する.内頸静脈に関していえば,アクセスのよさ,重篤な合併症の少なさから特に救急の状況などでは最も選択されやすい.一方,穿刺部周囲に活動性の感染がある場合,挿入する静脈に血栓の存在が指摘される場合は同部位からのアプローチは禁忌となる.また,出血傾向の存在も絶対禁忌ではないが,重篤な合併症につながるおそれがあるので注意を要する.
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