連載 市中感染症診療の思考プロセス IDATEN感染症セミナーより・9
急性下痢症のマネジメント
黒上 朝子
1
1洛和会音羽病院 感染症科
pp.2278-2283
発行日 2008年12月10日
Published Date 2008/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103659
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ケース 発熱,水様性下痢で来院した生来健康な35歳女性
現病歴 2日間持続する発熱,全身倦怠感,腹痛,水様性下痢にて救急外来を受診.水様性下痢は5回/日以上,夜間就寝中も腹痛と下痢で覚醒するほどである.便は水様性,血液混入なし.軽度の嘔気・嘔吐と立ちくらみがある.娘が3日前,夫が2日前から同様の症状,娘は脱水・急性胃腸炎で入院中.5日前に生卵ですき焼きを食べた.
身体所見 体温38.0℃,心拍数130/分・整,呼吸数18/分,血圧100/60mmHg,座位にてふらつきあり,見た目sick.頭頸部:口腔粘膜の乾燥+.心音:I・II音正常,雑音なし.肺音:ラ音なし.腹部:平坦軟,軽度の右下腹部圧痛,筋性防御・反跳痛はなし,肝脾腫なし.四肢:皮疹なし.
検査データ 血液所見:ヘマトクリット50%,白血球12,500/μl(好中球70%,リンパ球25%,単球5%),電解質,Cr,BUN:正常.尿所見:ケトン(3+),蛋白・糖(-),赤血球1~3/HPF,白血球<1/HPF,細菌(-),便所見:粘液(-),白血球(+),血液(-).
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