特集 一般医のためのエコー活用法
Ⅲ.心臓
この所見をみたら
心臓内石灰化
和田 浩
1
,
安 隆則
2
1自治医科大学附属さいたま医療センター循環器科
2琉球大学大学院医学研究科薬物作用制御学
pp.115-119
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402103054
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近年MDCT(multi director row CT),MRIなどの画像的モダリティの普及により,心臓CT,心臓MRIが以前より広く行われるようになり,心臓内の構造物について以前より飛躍的に詳細な情報が供給されるようになってきている.心臓CTおよび心臓MRIの利点は,質的,組織的な情報を提供することができるため,心臓内の石灰化,線維化,脂肪組織,心筋組織,液性成分などをCT値やプロトン共鳴信号によって区別することができることである.また,空間分解能の改善により,心臓内の石灰化に関しては0.1mm単位のかなり小さなものまで検出できるようになってきている.このため,心臓内の石灰化に関しては,詳細な部位,大きさが,以前より多くの患者に日常的に発見されるようになりつつある.心臓内の石灰化については大きく冠動脈の石灰化と心膜(弁膜,乳頭筋,腱索,心筋)の石灰化に分類することができるが,当初急速に研究が進んだのは冠動脈の石灰化に関してであり,現在も多くの研究が行われている.
これに対して心エコーの利点は,ほかのモダリティに比べ無侵襲,低コストのため,簡便にベッドサイドにて施行可能で,より多くの患者に検査を行える点である.また,時間分解能に圧倒的に優れているため,その石灰化のもつ機能的な意味や,動的な形態についても同時に評価できる.反面,空間分解能に関してはCT, MRIに劣るため,冠動脈の石灰化の評価については不向きである.今回,冠動脈の石灰化に関しては他書に譲り,ここでは日常診療上頻繁に遭遇する心膜の石灰化について,どのように正常と異常を鑑別していくのかを中心に述べる.
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