カラーグラフ 手で診るリウマチ(3)
オスラー結節(Osler's node)と爪下線状出血斑(splinter hemorrhage),結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa)
上野 征夫
1
1西村病院
pp.540-541
発行日 2003年3月10日
Published Date 2003/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102576
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オスラー結節(Osler's node)は,指頭部にできる有痛性紅斑である.皮膚表面は発赤し,盛り上がり,中心部は蒼白色を呈する.1885年,ウィリアム・オスラー(William Osler)により,心内膜炎患者にみられる特徴的所見として記述された.以後120年近く経過しているが,オスラー結節を組織学的に検索した成績は驚くほど少ない.オスラーが示唆したように,敗血症性の塞栓を示唆する微小膿瘍を認めるという報告もあれば,免疫学機序によって成立する小血管炎症という見方もある.少なくとも亜急性の心内膜炎では,後者によるという説が有力である.オスラー結節は,全身性エリテマトーデス患者においてもみられることがある(図1).同様の所見は,手のひらにも現れることがあり,Janeway lesionと呼ばれる.ただし,オスラー結節と異なり無痛性で,肉眼所見では皮下溢血がより特徴的である.
爪下線状出血斑〔splinter(subungual)hemorrhage〕も,リウマチ性疾患では,血管炎の存在を示唆する重要な所見である(図2).爪床毛細血管が破れると,この部位では縦長に出血する.最初はプラム色を呈し,その後黒味がかった褐色となる.爪の成長とともに,次第に爪の表面,遠位方向へと移動する.原因として最も多いものは,外傷によるものである.全身疾患では,血管炎,動脈塞栓,心内膜炎,白血病など血液疾患,壊血病,トリキネラ感染などによるものがある.図2は結節性紅斑にみられたもので,原因として血管炎性が疑われた.
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