入門講座 細菌
エーゼのえらび方,使い方
高橋 昭三
1
1東大医学部細菌学
pp.279
発行日 1967年4月15日
Published Date 1967/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542917152
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微生物関係の実験,たとえば臨床材料,菌の培養の取あつかいなどにおいて,エーゼは,食事の時の箸のように,普通につかわれる。そのつかい方は技術者の熟練の程度をあらわすといってもそれほどまちがいはない。
図1に示したものは,普通につかわれるエーゼである。基本的には,aの部分を,万年筆をもつように,右の栂指.示指.中指の3本でもつ。他の2本の指は,棉栓等をとりあつかうなどの用途があるので,あそばせておく。焔の中に,cの部分が全部1度に入るように立てて入れてやく。黄色になるほどに加熱したら,新しい培地等につけて冷やしたり,または自然にひえるのをまち,菌または臨床材料をcの部分につける。塗抹標本をつくる時は,菌の斜面培養ならばごく少し,液体培養ならば適当量,臨床材料ならば,1エーゼとり染色法により,塗抹した時,一様に白くなる程度ないしなるべくうすく,やっとみえる位までにのばす。とった菌,臨床材料の分離培養を行なう場合は,できるだげ少量をとるようにする。それを培地に,エーゼのcの部分の先を培地にきずをつけないように画線する。この時,エーゼを,手首のカをぬいて,動かすようにする。ニーゼが培地面を動いてきずつけないで,なめらかに動くようならばよい。大よそ,1.2%の寒天20mlを,9cmのシャーレにかため,その上を,きずつげずに,すきまなく画線できるようになれば十分である。これが細菌実験技術の第一歩である。
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