連載
目でみるトレーニング
西田 隆
1
,
松村 正巳
2
,
本倉 徹
3
1防衛医科大学校第3内科
2石川県立中央病院腎臓内科
3東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科
pp.1957-1963
発行日 2003年11月10日
Published Date 2003/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102291
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問題 352
症 例:51歳,女性.
主 訴:上肢筋力低下.
既往歴:特記すべきことなし.
家族歴:特記すべきことなし.
現病歴:1998年7月頃,左手指脱力感に気づく.その後,症状は徐々に増悪.1999年5月頃,右上肢に同様の症状が出現し,同年6月当科受診.
現 症:血圧138/90mmHg,脈拍80/min・整,体温35.8℃.意識清明で,舌の線維束性収縮と両側母指球筋,小指球筋の萎縮を認めた.眼球運動障害,嚥下・構語障害なし.両側上肢に遠位筋優位の筋力低下を認め,握力は右15kg,左7kgであった.四肢深部腱反射は両下肢で亢進していたが,Babinski徴候は陰性であった.感覚障害,協調運動障害,膀胱直腸障害,歩行障害なし.
検査所見:頸椎X線,頭部MRI,頸部MRI検査はすべて異常なし.血算,生化学,尿検査は異常なく,CRPは0.3mg/dl以下,HTLV-1抗体,抗ガングリオシド抗体は陰性.髄液検査は細胞数正常,糖61mg/dl,蛋白20mg/dl,細胞診class2.上下肢の神経伝導速度検査では,伝導ブロックの所見は認めなかった.左短母指外転筋における安静時の針筋電図所見を図1aに,最大収縮時の針筋電図所見を図1bに示す.左尺側手根屈筋,浅指屈筋,総指伸筋,橈側手根伸筋,上腕二頭筋では安静時と収縮時に,左前脛骨筋,左腓腹筋では安静時に,図1と同様の所見が認められた.
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