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レジオネラ感染症
レジオネラ症はレジオネラ菌により,重症の肺炎や,一過性の発熱であるポンティアック熱を起こす感染症である.現在,レジオネラ菌には,Legionella pneumophilaのほか,L. bozemanii,L. dumoffii,L. gormanii,L. longbeachaeなど40菌種以上が確認され,最も代表的な菌種であるL. pneumophilaは血清型1~16までが確認されている.しばしば,クーリングタワーなどの給湯・空調設備を介し,エアロゾル化したレジオネラ菌を吸入することによる院内・施設内における肺炎の集団事例が報告されている.レジオネラ菌はヒトの好中球,マクロファージや,アメーバなどの原生動物の食胞内で急激に増殖し(図1),細胞内に移行しないβラクタム薬などは無効なことから,急激に重症化し致死的な経過をとることも少なくないため,迅速かつ確実な診断が必要である.
レジオネラ尿中抗原検査
レジオネラ症に罹患した際には,尿中にレジオネラ菌の細胞壁構成成分であるリポ多糖(lipopolysaccharide:LPS)が排出される.尿中のレジオネラ菌由来抗原を検出するため多くの検査が開発されており,現在,ELISA法を用いたBinax-EIAとBiotest-EIA(レジオネラ抗原「ミツビシ」),イムノクロマト法を用いたBinax-NOWレジオネラとディップスティック‘栄研’レジオネラの4種が上市されている.いずれもL. pneumophila血清型1のLPSを検出することを目的としており,ELISA法では約3時間,イムノクロマト法では約15分で検査可能である.Biotest-EIAではL. pneumophila血清型1以外の菌種についても,感度が低くなるものの検出が可能とされる.イムノクロマト法は,ELISA法よりさらに簡便かつ迅速に検査を行うことができるため汎用性の面でより優れている(図2).
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