特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
細菌検査
検体別同定検査各論
グラム染色
菅野 治重
1
1高根病院内科
pp.544-548
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101896
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グラム染色は1884年にデンマークの内科医Hans Cristian Joachim Gramによって考案された細菌の染色法である.原法は前染色にゲンチアナ紫を用い,その後ヨード液を作用させ,これをエタノールで脱色し,その後サフラニンを用いて後染色する二重染色法である.グラム陽性菌と陰性菌では細菌壁の構造に違いがあり,グラム陽性菌ではゲンチアナ紫とヨードの結合物が,アルコールに脱色されずに細胞壁に残るために青~紫色に染色される.これに対してグラム陰性菌はアルコールに脱色され,後染色のサフラニンによって菌体は赤色に染まる.ゲンチアナ紫は染色液の結晶が析出しやすいため,現在は前染色にクリスタル紫を用いるハッカー(Huker)の変法1)やB & M (Bartholomew & Mittwer)法が広く用いられている.
グラム染色の手技
表1に主なグラム染色法を示したが,以下にグラム染色の手技の手順を示す.①最初に喀痰などの検体をスライドグラスに薄く塗布し,これをメタノールまたは火炎で固定する.②固定した試料にクリスタル紫液をかけて約1分間染色し,その後流水で洗い流す.③次にヨード液を試料にかけて約1分間染色し,その後流水で洗い流す.④試料にエタノールをかけて約30秒作用させて脱色させた後に流水で洗い流す.⑤さらにサフラニンまたはフクシン液を試料にかけて,約1分間後染色した後に流水で洗い流す.⑥スライドグラスを十分乾燥させた後に検鏡する.
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