特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
免疫学的検査
感染症関連検査
ウイルス関連検査
A型肝炎ウイルス関連検査
矢野 公士
1
,
八橋 弘
1
1国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター
pp.358-360
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101830
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A型肝炎ウイルス(hepatitis A virus:HAV)は1973年,急性肝炎患者の回復期血清を用いて,糞便中のウイルス粒子を免疫電顕で証明することによって発見された1).1970年代後半から酵素免疫測定法(EIA),ラジオイムノアッセイ(RIA)でHAV抗原およびHAV抗体の検出が可能となり,さらにIgM型抗体の検出が確立2~4)されるに至って,A型肝炎の早期診断が臨床の場で簡便にできるようになった.本稿ではA型肝炎の抗体検査を中心に述べる.
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
HAVは約8kbのRNAウイルスであり,ピコルナウイルスのhepatovirus属に分類され5),主な感染経路は糞便中のウイルスの経口感染である.A型急性肝炎は2~6週の潜伏期を経た後,発熱,全身倦怠感,食欲不振などで発症し,その後黄疸が出現する.A型肝炎患者血中には,その発症の初期からIgM-HA抗体が出現し,約3~6カ月後に消失する.一方,IgG型抗体はIgM型抗体にやや遅れて1~4週後に陽性化するが,その後も長期間陽性を持続する.また,消化管では分泌型IgA-HA抗体が産生され,糞便中に検出される.A型肝炎罹患時の各種マーカーの推移を図1に示す.
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